最近、書店には「誰でも出来るサーバ構築」みたいな本が出回っている。実際、 自宅に常時接続環境を持つことが、数年前では想像できないほど容易にできる ようになってきている。プロバイダに、ちょっとした追加料金を払えば固定な global IPv4アドレスがもらえるから、これを使えばメールやWWW、DNSなどの サーバが簡単に出来てしまう。
一方、Linuxに代表されるようなPC UNIXの使い勝手もますます良くなってきて おり、ネットワークについての知識がそれほどなくても、先に述べた程度のサー バを動かすことは簡単にできるようになってきた。もしUNIXが面倒ならちょっ と高いがWindows NT server という手もある。いずれにしても、何もしらない ところからいろいろいじくってみるだけでサーバになってしまう、というのが 現状といえよう。
では、これらをもってネットワークやサーバの管理そのものが容易になった、 と言って良いのだろうか。決してそうではない。Windows NTのIIS serverにお けるCode Red や Nimda wormの蔓延により、IIS server のみならず、低帯域ネットワーク においてはこのワームにより帯域を使われ、本来問題が生じないはずのサーバ プログラムを用いているにもかかわらずアクセスが不能、あるいは困難となる 状況に陥った。これはWindows に限った話ではない。実際、Apacheのweb siteや、セキュリティに関 して専門家であるはずのBaltimoreといったセキュリティ関連 会社のweb siteが改竄されるような事件が頻発しているし、また、UNIXに附属 するtelnetd の欠陥を利用するXC wormが発 見されるなど、クラッキングに関するニュースは増加の一途を辿り、ネットワー ク自体の重要性が高まってきていることと相まって、問題が生じたときの被害、 損害は図りしれないものになりつつある。
この記事は、サーバを構築しよう、と思っている人にそれを思いとどまら せることを目的としている。実際には、既にやりたくもないのにサーバを 運用させられていて、しかもそれをやめられない(仕事とか)人もいるだろうか ら、どうすれば楽に管理できるか、ということも合わせて書いていくつもりで ある(ここでいう「楽に」というのは、つまり「金で解決する」という意味で ある)。